臨床心理士とは  

 臨床心理士とは、財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する法人認定資格です。1988年に心の問題を扱う専門家の資格として認可されました。それ以降、国家資格化の動きがありつつも、様々な障壁によって現在まで法人資格となっています。
  現在、臨床心理士の資格を取得するためには、臨床心理士指定大学院の修士課程(博士課程前期課程)を終了することが要件となっています。
  臨床心理士は名称独占に相当する資格であり業務独占ではないので、心理関係の仕事をするために必ず必要な資格(法律上必要な資格)というわけではありませんが、臨床心理士がある程度広く認知されてきていますので、公務員の心理職以外で心理関係の仕事をしようと思ったら、臨床心理士 の資格がないと難しくなってきています(資格を持っているからといって、必ず仕事に就けるというほど甘くはありません)。
  現状としては、毎年1500〜1600人の人が臨床心理士になっているにもかかわらず、働ける場はそれほど増えていないので、就職はかなり厳しい状況です。さらに、臨床心理士の資格は取得したら永久になくなるものではなく、「ポイント制」を導入しており、5年毎に規定のポイント数を学会・論文発表、研修会参加などによって取得し更新しないと、資格が失効してしまうというけっこう大変な資格です(医師免許、教員免許などは現在のところ更新制をとっていません→教員免許は更新制になりました)。

  さて、医師免許の話が出ましたが、よくある質問として「精神科医と臨床心理士は違うの?」というものがあります。心の問題を扱うという点では同じですが、そのアプローチの仕方に大きな違いがあります。精神科医は医学部卒ですので、基本的には医学モデルにのっとっており、悪いところを見つけて治すという”修理モデル”によっています。それに対し、臨床心理士は治すということよりも問題を抱えた人がそれを乗り越えて成長するのをサポートするという”成長モデル”によっています(その中身はよってたつ理論によって異なりますが)。そして、一番分かりやすい違いは、診断と処方ができるのが精神科医で、臨床心理士はそれをできないというところです。病名を特定し、症状を改善するための薬を処方するのは医師の業務独占であり、臨床心理士が行うことはできません。
  では、臨床心理士は何をするかというと、臨床心理士の仕事は”臨床心理アセスメント””臨床心理面接””臨床心理的地域援助””臨床心理学的研究”の4つに大きく分類されます。細かい内容は別の項で説明するとして、精神科医との違いで簡単に説明するといわゆる心理テストと面接(カウンセリング)を行うのが臨床心理士の仕事と言えます。テストと面接は臨床心理士にしかできないわけではなく、(それを学んだ)精神科医も行うことができます。しかし、精神科も患者さんが多く、どうしても”3分診療”になってしまうので、実際には一人の患者(クライエント)さんに長い時間をかけることが難しいのです。というわけで、業務の住み分けをしているということなのです。患者さんのなかには、とりあえず薬で安定を取り戻すことが先決な人も、薬の処方は必要ないけど一定時間話をできる(聴いてくれる)場が必要な人も、その両方が必要な人もいますので、臨床心理士と精神科医の連携が非常に重要になってきます。

【参考ページ】臨床心理士の給与面について

【参考ページ】とある臨床心理士(管理人)の働き方について

【参考ページ】都道府県別臨床心理士数/大学院数/人口10万人対数

【参考ページ】臨床心理士の職域

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